当園は農協の病害虫指針に基づいて防除(消毒)をし、栽培している慣行栽培の農家です。もちろん園地ごとに発生する病害虫が異なるので、園地に合わせて防除をし、必要以上の防除はしません。なるべくなら減農薬で栽培したいと思っています。
減農薬栽培
減農薬栽培とは・・・農薬を慣行栽培で使用する農薬の50パーセント以下に減らし、化学肥料の窒素成分量が50パーセント以下で栽培する方法です。
都道府県に申請し、園地ごとの栽培記録を提出しないといけません。

うちは減農薬ですから…
とお客さんに見た目の悪さを説明しますが、それは減農薬栽培ではありません。

○○さん、減農薬で作ってるって言うけど、1回防除が少ないだけでしょ。それって減農薬って言えるの?ただ見た目の悪さを減農薬だからって言い訳してるだけじゃないの?

減農薬や無農薬を名乗るには1回防除を減らしただけではダメだし、申請も必要だと思うよ。💦
すごく厳しい意見ですが、私を含めほとんどの農家(嫁?)は、定期的に行う防除を少し減らしたら減農薬と思っている可能性があります。
無農薬栽培
消費者の方は「無農薬」と聞いたら、「農薬を使っていない安全なミカン」というイメージを持つのではないでしょうか。
無農薬栽培とは・・・農薬、化学肥料、除草剤を一切使用しないで栽培する方法です。
農林水産省に登録された民間認証機関に申請する必要があり、減農薬栽培同様 栽培記録を提出する必要があります。
隣接する園地から風で飛んでくる農薬や以前使用した除草剤の成分が土壌に残っていた場合、無農薬栽培を名乗れません。慣行栽培から無農薬栽培へ移行するには2~3年間の移行期間が必要になります。
特別栽培農産物
ご存知でしたか?「減農薬栽培」「無農薬栽培」について簡単に述べましたが、現在は「減農薬栽培」「無農薬栽培」を謳ってミカンを販売することは禁止されているんです。
もしインターネットで果物や野菜を購入しようと、「無農薬」と検索したら無農薬で販売している商品が出てくると思います。
が、平成4年に禁止されました。農林水産省が定める「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に記載されています。
現在は「特別栽培農産物」と表示します。もちろん特別栽培農作物も各地域の農政局にあたる事業支援部食品企業企画課や都道府県から委託を受けた機関に申請が必要です。
では、特別栽培農産物とはどういうものでしょうか?
特別栽培農産物に係る表示ガイドラインには、
・ 農薬の使用回数が慣行栽培の5割以下であること
・ 化学肥料の窒素成分量が5割以下であること
であれば特別栽培農産物として販売することが可能だとされています。農薬や化学肥料を5割以下に減らした栽培も全く使用しない栽培も、どちらも特別栽培農産物とされます。
特別栽培農産物と表示するには細かいルールがあります。
生産計画書や農薬や化学肥料をどのくらい減らしているかという栽培記録を細かく記載する必要があります。5割以下に減らした栽培の場合、「○○地域比○○割減」など記載する必要があります。
農薬を全く使用しないで栽培した農産物には「農薬:栽培期間中不使用」と記載します。
更に生産者の氏名や住所、連絡先などの生産者情報の記載も必要になります。
では、なぜ「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」が出来たのでしょうか。消費者の方は「無農薬は全く農薬を使っていない」と思っています。が、生産者は「その年の栽培期間中は農薬を使用していない」という意味で「無農薬栽培」と言っている場合がほとんどです。生産者が「無農薬」と言ったにも関わらず残留農薬が検出される場合があります。上記で記載した隣接園地からの農薬や土壌に残っていた農薬によって残留農薬が検出されることがあります。消費者の方から言えば「無農薬栽培ではないじゃないか」ということになります。この消費者と生産者の認識のズレを解消するためにガイドラインが出来たと言われています。
確かに特別栽培農産物が健康に良いのは分かります。では、慣行栽培は悪いのでしょうか。
決して悪いわけではありません。
慣行栽培
スーパーで販売されている農産物の99パーセントが慣行栽培の農産物です。
慣行栽培とは、その地域や国、農協が指導する、法律に基づいた栽培技術の積み重ねによって慣行栽培の基準が決まります。
都道府県や自治体がその土地の気候や特性に合わせて、農薬や化学肥料の使用回数や時期を指導し、農協がどの時期にどの薬剤を使うのが良いかという指針を出します。それが当園が参考にしている防除指針です。その指針に基づいて栽培するのが慣行栽培です。
慣行栽培のメリット
① 毎年品質の変わらない農作物を栽培することができ、大量生産と高収益を維持できる
② 農薬や肥料を使用することで、作業の手間や負担を軽減させることができる
慣行栽培のデメリット
① 土壌の地力を弱らせ微生物の減少をまねく
② 肥料や農薬など物価高騰の影響を受け、経費が増大する
③ 大なり小なり環境・生態系に影響を与える
まとめ
「特別栽培農産物」「慣行栽培の農産物」共に一長一短あります。
農家の規模や人手によっても出来ること、出来ないことがあります。残念ながら当園では慣行栽培をしつつ、園地を見ながら減らせるものは減らすという栽培方法が今できることです。
防除指針を守り、安心安全なミカン作りをしていきたいと思います。


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